ぺんてるライブラリー Pentel Pentel
月刊ぺんてる

陰の立役者・替芯の秘話

 きっと誰でも1本は持っているシャープペンシル。ショップには、スタイリッシュなデザインや人間工学に基づいたデザインなど、数え切れないほど商品が出回っています。
そのシャープペンシルを支えているのが替芯。文具店のシャープペンシルの横にひっそりと並ぶ替芯。でも、そんな陰の存在ながらそこには多くのエピソードが隠されているのです。
今回は、そんな陰の立役者・替芯にスポットを当てていきましょう。

 1915年、日本でシャープペンシルが誕生しました。当時のシャープペンシルはカチカチとペンの頭を押す現在のノック式とは異なり、ペンの軸をグルッと回す繰り出し式しかなく、芯の太さも1.5mmや1mmという太いものばかりでした。また、芯の素材も鉛筆と同じように色を出すための黒鉛(炭素成分)に、粉末状の黒鉛を替芯の形に固めるための粘土と水を混ぜ合わせていました。そのため、書き味も悪いものばかりでした。

 そんな状況の中で、ぺんてる開発部が黙っているわけがありません。
「どうすれば、折れにくく、書き味がなめらかな替芯ができるのだろうか?」
鉛筆の芯や従来の替芯は、材料となる粘土・水・黒鉛を配合し、芯の形に成型後、熱処理の工程を経て製品化されていました。
開発部は、この粘土の配分を変えたり、熱処理温度を変えながら試作品を作り続けました。しかし、作っては失敗、また作っては失敗の毎日。なかなか満足のいく替芯を作ることができません。

 1950年代後半、そんな冬のある日。開発に煮詰まった研究員たちが唯一ホッとできる昼休み。ストーブを囲んでお弁当を食べていた時のこと……。
お弁当のごはん粒がストーブにくっついて、真っ黒焦げに炭化したのを見て閃いたのです!
「軟らかい粘土の代わりに、硬い炭化素材を使えば強度が増して折れにくくなるぞ! 粘土が擦れて手が汚れる不快感もなくなるはずだ!」

 一粒のごはん粒からヒントを得た研究員たちは、粘土の代わりにストーブで焦げたごはん粒と同じように炭化する樹脂(バインダー)を配合。樹脂は加熱することで黒い炭化物に変化するため文字の濃度を増すことができました。さらに、軟らかい粘土を排したことでより強度もUP。

やがて1960年、粘土芯の1.5倍の強度を備えた合成樹脂芯「ハイポリマー芯」を作り上げました。
こうして強度と濃度が増したことにより、細く、濃く、美しく文字が書ける直径0.5mmの極細芯が実現したのです。

 樹脂の採用で強度が増したほかにももうひとつ画期的な進歩がありました。それは、替芯を油で揚げる!?ことです。
黒鉛・樹脂を配合し成型後、電気炉で最高1000℃の温度で焼成。そして、この替芯を100℃に熱した油に2時間浸します。この油に浸すことで、焼成でできた気孔に油が沁み込み、スラスラとなめらかな書き味を実現させたのです。

 余談ですが、ハイポリマーアインにおいてこの油は替芯としては初めて高級化粧品で使用されているなめらか成分配合の油を採用しています。
直径たったの0.5mm、長さ60mmの替芯に、これほどのこだわりと思い入れが隠されていたのです。

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沖縄では2B芯が売れる!?


 一般的にHB芯が普通の濃さとして使用されていますが、沖縄ではもっと濃度の高い2B芯が主流なのを知っていますか?

 それは、芯と紙の摩擦と湿度が大きく関係しています。たとえば、硬い紙に文字を書くと、芯がよく磨耗して文字は黒く濃くなります。逆に軟らかい紙では摩擦が弱いため文字は薄くなります。湿度が高いと紙が湿気を吸収して軟らかくなり、硬い芯が紙面で削れず文字が薄くなってしまうのです。逆に、湿度が低く乾燥した紙面は硬くなり、替芯との摩擦量が高くなることで芯がよく削れて文字も濃く書けるのです。

 だから、湿度の高い沖縄では、2B芯がちょうどHBと同じくらいの濃さで書けるというわけ。

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