![]() |
●TOPICS / 進化し続けるボールペン「ハイブリッド」 ●COLUMN / ボールペンは文具界のF1!? |
|
![]()
試験勉強の時、ボールペンを使って長時間筆記していると指が痛くなったものです。指にはタコもでき、ひどい時には腱鞘炎になる人も……。でも、最近のボールペンは、サラサラとしたなめらかな書き味で、指も痛くならないと思いませんか?たぶんそのペンは、ボディが透明で中のインクタンクが見える水性ゲルインクのボールペンかもしれません。この聞きなれない水性ゲルインクとは?
ボールペンの形状に大きな変化はないものの、中のインクは1943年のボールペンの発明時から大きく進化しています。そこで今回は、進化し続けるボールペンインクの足取りを、文具業界を揺るがした画期的なゲルインクを中心に追っていくことにしましょう。
|
1943年、新聞の校正係だったハンガリーのラディスラオ・ピロが油性ボールペンを発明しました。万年筆と違い、ザラ紙にもひっかからない構造でボールペンは急速に普及。日本には、第二次世界大戦後、進駐軍によって持ち込まれ一大ブームが巻き起こりました。しかし、油性ボールペンは高粘度の油に染料を溶かしたインクを使っていたため、水に濡れると文字が流れてしまう欠点がありました。また、インクのついた先端のボールを紙に押し付けてインクをペン先に送り出すため、強い筆圧が必要で、手に負担がかかり、指が痛くなるというクレームも多かったのです。 そんな欠点を克服するために開発したのが染料を水に溶かした水性インクのペンでした。紙にインクを擦り付けて文字を書く油性と異なり、紙にペン先を軽く接触させるだけでインクが紙に吸収される構造上、軽い筆圧でなめらかに書ける大きなメリットがあるのです。その反面で、インキの残量が見えない、筆跡が水に流れるというデメリットもありました。といっても、油性は筆記距離が長く経済的。筆圧があった方がよいという好みの問題もあり、油性と水性は同じように市場をシェアしていました。
文具業界において、技術レベルの高い日本のメーカーが、そこで"よし"とする訳がありません。水性ボールペンの開発で新たなシェアを獲得したものの、従来の水性ボールペンはインクを染み込ませた中綿からペン先にインクを送り出す構造が多かったため「インクがどれだけ残っているのかわかない」「最後まで一定の書き味をキープできる油性と違って、水性は徐々にインクが薄くなってしまう」という不満の声が上がっていたからです。 早速、機械を使った筆記テストを行い「結果は良好」。さらに、人間による書き味を試すことも忘れることはできません。開発スタッフの中にはサンプルを持ち帰り、家族中に協力してもらい、新聞記事を書き写すことで書き味と筆記可能文字数を試してもらったりもしました。さらに、効率よく筆記可能文字数を試すため、スタッフが使用頻度の高い文字を調べたところ「国」「会」「の」「年」「日」という五文字が分かり、家族でひたすらこの五文字を書き続けたとか。 |
こうして1988年、水性顔料ゲルインク『ハイブリッド』のテスト販売にまでこぎつけました。しかし、開発スタッフにはひとつ心配事が……。ゲルインクは消耗スピードが早いのです。ところが「最後まで使いきれるからいい」「こんなに勉強したという達成感がある」と、意外と大好評。当初は月産約2〜3万本でしたが(10年後には1,000倍に!)、かつてないソフトな書き味とインクの見える斬新なデザインが大きな反響を呼び、生産が追いつかないほどの爆発的ヒット商品になったのです。 1992年には、蛍光色を含めたカラーバリエーションを開発し、カラーボールペンという新しいジャンルを築きあげる一方、1996年のミルキーシリーズにいたっては、その乳白色のキュートな色や、プリクラや写真にも鮮やかに書けることから爆発的なヒットに。都内のデパートでは600本のミルキーペンがたった3時間で完売。「いったいミルキーはどこで買えるの?」と、全国から問い合わせが殺到しました。後には、日本画の色に近い伝統的な微妙な色合いを再現した全20色の絹物語シリーズのヒットへと続いていきます。 発売から15年、国内販売総数約500,000,000本(5億本)!この春には、ゲルインクの特性を一層極めた『ハイブリッド』のNEWデザインも2月に登場。今後もさらに進化し続けていくハイブリッドシリーズから目が放せなくなりそうですね。 |
|
![]()
ボールペンのペン先には小さなものでは直径約0.3mmのボールが付いています。このボールが筆記時に紙の抵抗を受けながら回転することで、インクタンクのインクを引き出して紙に文字を書いていく構造です。このボールの回転スピードはどのくらいだと思いますか? なんと、時速200kmで走る乗用車のタイヤ回転数以上とも言われます! この目にも留まらぬ猛スピードでインクを送り出しているからこそ、かすれのないきれいな文字が書けるようになったのです。(文研社:文房具の歴史より) |
![]() |
![]()







