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月刊ぺんてる

色鉛筆でもなく、クレヨンでもない、全芯色鉛筆「パスティック」〜摩擦熱で色鮮やかに〜

 ぺんてるの全芯色鉛筆「パスティック」がデビューしたのは昭和57年。
全芯色鉛筆!? 聞き慣れない言葉かもしれませんが、サクラ社のクーピーペンシルと言えば、ピンとくるのではないでしょうか。色鉛筆でもなく、クレヨンでもない、その中間のような「パスティック」は、どことなくヨーロッパチックでスタイリッシュなデザイン。私が小学生の頃は、「パスティック」を持っているとクラスメイトから羨望の眼差しを集めたものです。

 「パスティック」は、何からできているのでしょう。
色鉛筆の芯だけを抜いて太くしたもの。あるいは、クレヨンを硬く形成し、表面に磨きをかけてつるつるにしたもの。そう思ってはいませんでしたか?
実は、色鉛筆、クレヨン、「パスティック」は、同じ仲間のようで、タイプが違う描画材なのです。

 色鉛筆も、クレヨンも、「パスティック」も、色を出す元となるのは顔料です。
顔料はただの粉なので、いろいろなものを混ぜてペンシルタイプに形成しますが、色鉛筆、クレヨン、「パスティック」では、芯を形作る材料に特徴があります。芯を形作る材料によって、性質も大きく異なっています。中でも、「パスティック」の構造は実に意外。

色鉛筆
繊維質のセルロース系樹脂。繊維質が、紙の凹凸に削られ凹凸に入り込んで色が塗れます。紙の繊維に絡み付いているので、消しゴムで取れにくく、書いた感じも滑らかというより、乾いてガザガザしているのが特徴です。

クレヨン
オイルやワックス。ワックスが紙の繊維の凹凸に擦り込まれ、染み込み、色が残ります。紙につきやすく軽いタッチで塗れる反面、手にべとつき、紙に沁み込んだ筆跡は消せません。

パスティック
スーパーのビニール袋と同じ素材のポリエチレン(プラスチック)。顔料の粒をプラスチックが覆っています。紙に筆記した時に生じる摩擦熱によって、プラスチックが溶け、細かくちぎれ、顔料が紙などに定着する仕組みです。色を塗った部分をよ〜く見ると、プラスチックが細かくちぎれているのが分かります。プラスチックは紙の凹凸に入り込みにくいので、紙の表面だけに色がのっているので、色鉛筆より消せるという特性があります。

 「パスティック」は、顔料を包み込んだプラスチックを摩擦熱で溶かし色を出す性質上、プラスチックが何℃の摩擦熱で解けるかが商品化への大きな壁になりました。
溶ける温度が高いと書けない、硬すぎる…。温度が低いと、柔らかくなって手の体温で解けてしまう、柔らかくなってしまう。現在発売されているのは、全30色。顔料の色によっても溶け方、ちぎれ方が異なるために、まさに地道な作業でした。

 「パスティック」は、色鉛筆と比べると軽いタッチで塗り心地がよく、発色がよく、ムラなく塗れます。木を使っていない環境に優しい全芯タイプも今の時代にマッチしています。また、クレヨンに比べ、ベタつかず、先を削れば色鉛筆のように細い線もきれいに塗れます。両者のよい部分だけを併せ持ち、今では小学校の国語、算数、理科、社会など、図工以外の教科でも幅広く愛用されています。
色鉛筆、クレヨンと並ぶ「パスティック」。子どもたちを取り巻く文具は、より使いやすく、より描く・学ぶ楽しみをと、進歩し続けているのです。

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プラスチックにも筆記OK?

 「パスティック」はビニールのシートやプラスチックの透明版(机の上に敷くシートなど)にゆっくり書いたのではほとんど書くことはできませんが、すっと「パスティック」を走らせるようにすると書くことができます。これは、筆記したときの摩擦熱で顔料を覆っているプラスティックが細かくちぎれてプラスチックの透明版などに定着するからです。周りに怒られない程度に実験してみてください。

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