ぺんてるライブラリー Pentel Pentel

TOPICS プラスチック万年筆?「トラディオ・プラマン」

 筆記具のルーツを探ると、それは万年筆に行き着きます。古代エジプトでは、葦竹の茎の端を斜めに切り落とし、先端の中心を縦に切り割った葦ペンと呼ばれるものに、煤煙をニカワで溶いたインクを付けて文字を書いていました。この葦竹の先端の形状は、何かに似ています。そう、万年筆です。やがて7世紀初頭には、鳥の羽を葦ペンと同様にカットした羽ペンが登場しました。音楽室に飾られたベートーベンが楽譜を書いている肖像画に羽ペンが描かれていることで、その姿形をご存知でしょう。やがて、先端がすぐに磨耗してしまう羽ペンに代わり、金属製のペン先が1700年代に登場し、改良を重ね現在に至っています。

 日本では、国産第一号が明治41年に発売され、大正時代を迎えた頃には生産が追いつかないほどに需要が伸び、年間40万本を売り上げたほどです。しかし、昭和に入ると、筆記具の王者として君臨していた万年筆も機能性の高いボールペンやシャープペンシルが普及し始めた昭和40年頃から需要が減り始め、国内で年間1800本も売られていた最盛期に比べ、昭和の終わり頃には1/3まで落ち込んでしまったのです。
そして現在では、万年筆は実用性よりも、軸に漆や銀が使われ細工を施した宝飾品や高級ブランドの1アイテムとして、ステータスシンボルとしての位置づけをされることが多くなってきました。

トラディオ・プラマン

 みなさんは万年筆を持っていますか?きっと引き出しの奥に眠っているのではないでしょうか?ビジネスシーンで万年筆を使っている姿は、格好いいものです。でも、まめにインクを補充しなければならなかったり、補充する時にデスクを汚したり、ペン先が乾きやすい、手が汚れる、筆記中に液だれをするなど、ボールペンやサインペンに比べかなり面倒。確かに、万年筆を使わなくなった理由はうなずけます。万年筆を使わなくなってしまった人も、その書き味を思い出してください。しなやかなペン先が生み出す柔らかな書き味、微妙な筆幅を作り出す表情豊かな筆跡。その文字の美しさ奥深さは、ボールペンやサインペンとは一味もふた味も違うものです。また、ベルサイユ条約、ベルリンの壁が崩壊した東西ドイツ統一条約など、歴史を動かすさまざまな調印式でも万年筆が使われているように、万年筆で書かれた手紙や書類には、なんともいえない重みを感じるものです。トラディオ・プラマン フランス国際文具見本市 金賞受賞!そんな万年筆の書き味のよさや魅力は誰もが認めるところですが、やはり使い勝手の悪さや価格の高さは手軽に使うには受け入れがたいものがあります。

 万年筆の書き味のよさと筆跡の美しさは、その金属製のペン先にあります。一般的に万年筆というのは、金ペンの先端にイリジウムを装着し、その中央を二つに割ったペン体から流れ出るインキによって筆記できるようになっていますが、このペン先の金属加工技術は現在でも世界で数社しか持っていない特殊な技術なのです。そんな中、ぺんてるでは、すばらしい書き味を持つ万年筆の材質に目をつけました。「ペン先も全てプラスチックの万年筆を作れば価格も安くなり、使いやすさも追求できるのではないか」と、次世代万年筆の開発がスタートしました。

 その結果、1979年に万年筆とサインペンの特性を兼ね備えた「プラマン」が発売されたのです。万年筆のしなやかなペン先の弾力と微妙な角度によって筆幅が異なる筆跡は、金属ならではのものでした。しかし、「プラマン」では、その万年筆に近い筆跡を実現させたのです。プラスチックでその微妙な弾力や筆跡を作るために、インクが流れる部分を上下から支えるホルダーの長さの試行錯誤を繰り返しました。試行錯誤の結果、上下で支えていたホルダーの長さを変ることでペン先の弾力に変化を出し、ホルダーが短い面を上にして書くとしなやかな書き味に、長い面を上にして書くと硬い書き味になり、万年筆の書き味や筆跡により近づけることができたばかりでなく、万年筆にはない特徴を生み出すこともできました。

 また、「プラマン」では、プラスチックのペン先の耐久性を得るために、先端の形状や加工処理に独自の技術を取り入れ耐久性を向上させました。その後の1993年、「プラマン」は新たな進化を遂げます。デザインも一新され、従来の「中綿式」から「生インキ式」となり、使い捨てタイプから、ペン先ごと交換するカートリッジ式になりました。また、翌年の1994年には、万年筆文化の長い欧州の文具が一同に会するフランス国際文具見本市で金賞を受賞することができました。

 「トラディオ・プラマン」を手にした方たちはリピーターが多く、万年筆で原稿を書いていた作家さんや音楽家、招待状等の宛名書きを職業としている筆耕業の方など、次も「トラディオ・プラマン」のリフィルを入れ替えて長く愛用している方が増え続けています。ぜひ一度、ボールペンにはないしなやかな書き味と文字の美しさを実際に試してみてください。きっと忘れかけていた万年筆のよさを実感することでしょう。

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とことん書き味にこだわるなら、試し書きが大切

ぐるぐるはNG

 履歴書や契約書、論文など、大切な書類に文字を書く時にペンを新調するものです。ペンを購入する際、文具屋のペンコーナーの前に置いてある試し書き用の紙に、選んだペンでぐるぐると円を書く人が多いようですが、ちょっと待った! 実は、ペンコーナーにある試し書き用の紙は安価な紙が多く、履歴書や原稿用紙、手紙などに使われている紙とはちょっと書き味が異なるのです。購入してみて「あれ違うな?」と感じるかもしれません。 書き味や筆跡にこだわるなら、実際に使う紙を持参して試すのがベストです。それが面倒ならぐるぐると円を書くのではなく、自分の名前など本番の紙に書く文字を書いてみると、より自分に合ったペンを選ぶことができます。 それにしても、なぜ試し書きの紙に線や絵ではなく、ほとんどの人がぐるぐると円を書くのでしょうね。それはまた別の機会に…。

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