●TOPICS / 弘法、筆を選ぶ!?「画筆」
●COLUMN / ぺんてる筆で培った先付け技術を応用
有名なことわざに「弘法、筆を選ばず」があります。 書の名人でもある弘法大師(空海)は、筆を選り好みなどしない。 技の優れた人は道具の良し悪しに関係なく立派な仕事をするという意味です。 でも、こんな話もあります。 弘仁3年、時の天皇・嵯峨帝を尋ねた弘法大師は4本の筆を差し出しました。 その4本の筆は、楷書、行書、草書、写経用に分けた筆だったそうです。 弘法大師は、「筆は必要に応じて選ぶべきだ」と教えたのでしょう。 弘法大師自身も、良い書を書くため、より良い筆を作らせ、選び、使い分けていたと言われています。 正しいことわざは、「弘法、筆を選ぶ」だったようです。
良い筆を使えば、誰もが良い書が書ける。 それは極論かもしれませんが、才能ある人が良い筆を使えばより素晴らしい作品となり、 書や絵に自信のない人も良い筆を使えば以前よりも上手になるということでもあるのでしょう。
筆といえば、ぺんてるには画材用の筆があります。 子ども達が図工で使う絵の具セットの筆、大人の間で広まっている絵手紙など、 いろいろなシーンでぺんてるの筆が使われています。 「弘法、筆を選ぶ」のように、ぺんてるでは作品のための筆選びは大切だと考えています。 材質や形状など、描くものに合っていない筆を使っていては、せっかくの腕も発揮できないこともあります。 そのためぺんてるではさまざまなニーズに合った画筆の開発を進めています。
一言で画筆といっても、その種類はいろいろ。 毛の材質ひとつとっても、動物の毛を使った獣毛と合成繊維の人工毛があります。 獣毛には馬・豚・羊・鹿・猫・狸・あなぐま・ラクダ・テン・りすなどの毛が使われています。 中でも中国・ロシアの秘境に生息する黒テンの毛や、 シベリア及び中国東北部の一部の地域に生息するコリンスキーと呼ばれるアジア系ミンク種の赤テンの尻尾の毛から採取された毛は、 弾力性に富み、最高の筆触を得ることができる最高品種とされています。 そんな希少価値のある筆もありますが、一般的には馬毛と豚毛が広く使われています。 時代と共に獣毛の希少性が高くなり、人工毛が開発され、 現在では主にナイロン、ポリエステルが主流の人工毛と獣毛の両方が使われるようになっています。
それぞれの毛の材質には特徴があり、たとえば馬毛は穂先がやわらかく水含みがよいので、ぼかしなど繊細なタッチを描くことができます。 豚毛は、絵の具の練りに負けない固さとこしがあり、油絵、アクリル絵の具や固形絵の具など硬い絵の具に適しています。 人工毛は、獣毛に比べ耐久性が高く、毛の根本を熱で束ねているため毛が抜けにくい特性があります。 さらに、獣毛の水含みのよさややわらかさを出すさまざまな工夫がなされています。
毛質の特性からも水彩画用、デザイン用など用途に適した筆が分かれてきます。 でも、文具店に行くといくつもの筆が並び、どの毛質のどの形を選べばよいのか迷ってしまうことでしょう。 絵手紙を描きたい、スケッチを始めたい、子供の絵の具セットを揃えたいなど、 絵の具の種類や用途によって最適な筆を選びたいものです。
たとえば、小学生の絵の具セットを揃えるなら、ナイロンの「ネオセーブル」がおすすめです。 耐久性に優れているため毛が切れず、バサつかず、筆に不慣れな幼児や低学年でも使いやすく、 水彩絵の具、アクリル絵などにも対応するオールマイティな筆です。 また、低学年は何度も絵の具をつけず一回で一気に描くことが多いことから、 毛に若干の縮れを施し、水含み性を高くする工夫もされています。 大人の方がスケッチをするなら、「ネオセーブル」のほかに馬毛もおすすめしています。 穂先がとてもしなやかでやわらかく、水含みがよいので、 ぼかし・にじみなどの濃淡をうまく表現することができ、 水彩画ならではのタッチが楽しめるからです。
絵手紙には「デザイン筆」が適しています。 穂先が柔らかいため筆圧や揺れが穂先に伝わり、絵手紙ならではの味わいが出てきます。 細かい点や細い線描きができる極細の面相筆も揃えているので、 ふちどりや顔の表情、野菜などのちょっとした種や凹凸もきれいに描けると好評です。 オールマイティな「ネオセーブル」、絵手紙の画材に良く使われる「アクアッシュ」のみず筆も使いやすいでしょう。
夏休みの工作などで、粘土、木などに色を塗る場合、 毛がひっかかり抜けてしまうことを考慮すると毛がぬけにくい「ネオセーブル」が使いやすいでしょう。 プラスチックやペットボトルの色づけにはアクリル絵の具を使うので、 毛がストレートでむらなく平滑に美しくぬれる特性もあります。
中学生向けの画筆やポスター、デザイン画には「デザイン筆」が適しています。 独自の製法による特殊毛材で穂先のまとまりがよく、 穂先がやわらかく絵の具がはじかないためポスターなどの細かな線もきっちり描けるといった特性があるからです。 毛の根本を熱で固め1本の束にしているため毛が抜けにくく、作品を美しく仕上げられるメリットもあります。
毛の材質だけでなく、画筆には丸筆、平筆があり、太さも一番細い0号から20号まで揃えています。 ここでは一般的な使い方をご紹介しましたが、描く人の筆使いや技法によっては、 コシのある筆がよかったり、しなやかな筆が描きやすいなどがあるため、 好みによってあなたの「弘法の筆」を選んでください。 きっと素晴らしい作品を完成させることができることでしょう。
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獣毛は、生まれたばかりの赤ちゃんの毛髪のように毛先に向うにつれ細くなっている形状から、 獣毛でできた上質の画筆には、独特のコシや穂先のしなやかさが生まれます。 いっぽう、合成繊維は1本の筒状の繊維を切断するため毛先が断面になってしまい、パサついた筆先になってしまいます。 合成繊維の画筆にも獣毛のようなしなやかさを実現できないものか…。 この発想から、ぺんてるの「ネオセーブル」が生まれました。
ぺんてるでは、すでに筆ペンの「ぺんてる筆」で、 1本1本の毛先を獣毛のように細く加工する先付けという技術がありました。 先が細くない毛を束ねても毛先に向って細くなる穂先はできません。 穂先を細くするには長い毛と短い毛を束ねるしかありませんが、 毛の長さが均一でない穂先は毛切れやねじれ、割れが発生し、 むらになったり、バサバサとした筆跡になってしまいます。 でも、独自の先付け技術により全ての毛を穂先まで揃えることが可能になり、 しなやかな書き味とコシを実現させたのです。
この先付け技術を応用したのが「ネオセーブル」です。 ぺんてる筆と同様に穂先がやわらかくコシがあり、穂先が割れてバラバラにならないため、 曲線は美しく、細かな箇所も美しく描けるようになっています。 さらに、水含み性を高めるために獣毛のような目に見えない縮れを施しています。 また、独自の製法により馬毛の3倍もの耐久性も実現! 細部に渡りぺんてるの技術が結集した「ネオセーブル」は、 ネーミングの「ネオ(=新)セーブル(=黒テン)」のごとく、 新たなセーブルともいえる画筆としてその地位を確立しようとしています。