中部

2019年8月-9月

長野県中野市立倭小学校

倭小学校は、明治34年創立の倭尋常小学校から数えて119年歩んできました。地域の皆様が残された輝かしい足跡や、学校に対して注いでいただいた熱意と愛情と共に、伝統や校風が育ち、受け継がれてきました。倭小学校への感謝をあらわす記念事業では、子どもたちが中心となり、学校、地域、保護者が参加し、絵を描くことで、心に残る思い出づくりができました。

01校舎の思い出ギャラリー

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02先生インタビュー

長野県中野市立倭小学校 (左から)中澤先生、齋藤教頭先生、青木校長先生、岩崎先生

「校舎の思い出プロジェクト」を行うことになったきっかけについてお聞かせください。

青木校長先生倭小学校に関わってきたすべての人たちに参加していただき、思い出を共有しながら、「倭小学校、ありがとう」の気持ちをあらわす記念行事をしたいと願っていました。同郷の先生からこのような企画があるとご連絡いただき、子どもたちが中心の思い出づくりの活動でもあり、学校、地域、保護者が一つになって、学校への感謝と思い出づくりになると考えました。

「校舎の思い出プロジェクト」のサポートプログラムはいかがでしたか?

岩崎先生画材の選定や数量に関しての提案、クレヨンで描いた部分の定着の仕方や絵の具の薄め方など、多くのアドバイスをいただき大変助かりました。またカメラ教室や一眼レフカメラの貸し出しなど丁寧に対応いただきありがたかったです。たった一度きりの「校舎に絵を描く」という一大イベントで不安がたくさんありましたが、親身にサポートいただき何も困ることなく活動することができました。

特に印象に残っているエピソードなどあれば教えてください。

齋藤教頭先生6年生の男子が、春の満開の桜の木の下に、仲良く並ぶ二人の子どもの姿を描きました。本人たちいわく「おれの最高傑作!」。このような機会でなければ、このように心を開放して描くことはなかったのではないかと感じました。

岩崎先生幹や枝は子どもたちが、葉は「校舎思い出参観日」に保護者の方と一緒に描きました。葉の部分を手形で色づけするために、保護者の方にローラーで子どもたちの手に色を塗ってもらったり、高い所は肩車をしてもらって色をつけたりしました。また、子どもたちが失敗して色をつけてしまった部分を、絶妙なフォローで修正し仕上げていただいた場面もあり、保護者の皆様と一緒に特別な思い出をつくることができました。完成した作品には、倭の思い出がたくさんつまっています。四季のサクラの木だけでなく、虫や鳥、羊、友達がたくさん描かれています。春は桜の下で全校お花見給食、若葉が輝く校庭での運動会、進む紅葉を感じながらの全校マラソンや豚汁作り、そして深い雪に覆われた校庭での雪遊びやクロススキー、移り行く季節を子どもたちは肌で、心で感じながら倭の地で過ごしてきたことを改めて感じました。

学校の壁という本来描いてはいけない場所に、初めて子どもたちが描いていくときはどのような反応でしたか?

齋藤教頭先生最初は「いいのかな」という表情で描いているのが印象的でしたが、みんなと一緒に描く楽しさにお互いがのせられて、笑顔いっぱいになりながら思い思いに色をつけていました。倭小学校の四季の桜を描くという大きなテーマの中で、一人ひとりが自由に描きつつも、全体の景色の中にきちんと納まっていく様子を見て、子どもたちの感性の豊かさを感じました。

岩崎先生恐る恐る描き始める子、はじめから大胆にどんどん描いていく子、反応は様々でしたが、みんな夢中になって描いていました。思い出の校舎の壁を大きなキャンバスにして、友達と一緒にそして保護者の方と一緒に倭のサクラを描けたことは一生の思い出になると思います。

子どもたちが撮影した写真や、撮影している様子をご覧になっていかがでしたか?

岩崎先生カメラ教室で教えていただいたことをいかして、気分は名カメラマンでアングルを工夫しながら撮っていました。描いた場所が階段の壁だったので高低差をいかしながら、階段の上から撮ったり廊下に寝て階段の下から撮ったりする姿がありました。子どもたちが撮った写真を見ると、とびきりの笑顔や真剣に描く友達の表情が写されていて、大人が撮るのとは一味違う子どもの感性が光っていました。

保護者や卒業生、地域住民の皆さんの反応はいかがでしたか?

青木校長先生手形ペイントでは、保護者の方も参加して、家族で楽しそうに手形や消しゴムスタンプを押していたことが印象に残っています。みんなで一緒に描くということから、一体感も生まれて充実した活動になりました。

齋藤教頭先生保護者の皆さんも「いよいよ閉校か」との思いを一段と深くするとともに、鮮やかに描かれた壁を目に焼き付けている姿が印象的でした。

今後、「校舎の思い出プロジェクト」を多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。 このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

青木校長先生今まで過ごしてきた学校に感謝の気持ちを込め、みんなで一緒に活動することで、本当に思い出深い記念行事になりました。また、卒業された保護者の皆様も、この活動に参加し、改めて学校に関われたことで、「あのころ」の思い出と「今このとき」が一緒になって、より記憶に残る行事になったことと思います。それを支援いただく素晴らしいプロジェクトです。さらに多くの思い出づくりに広がっていければいいと思います。

齋藤教頭先生異業種のコラボレーションによる可能性のふくらみが、閉校というタイミングでの学校のニーズにマッチした、すてきなプロジェクトだと思いました。「何か思い出を残したい」の「何か」に、手を差し伸べてくださり、子どもたち・保護者・地域の方・学校職員それぞれに、忘れえぬ思い出ができました。取り壊し等で、校舎の形としては残らないかもしれないけれど、関わった人たちの心にかけがえのない思い出を残すことができる、このプロジェクトのこれからの発展に期待しています。

その他、何かありましたら、ご自由にご記入ください。

青木校長先生「支援する」というお心遣い・姿勢で丁寧に関わっていただいたスタッフの皆さんのおかげで、大変円滑に、自信をもって楽しみながら進めることができました。わたしたちもいろいろな面で、学ぶこと多い活動だったと思います。