ぺんてるモノ物語

ちょっと地味だけど、一度使うと手放せない!?ゲルインキボールペン「エナージェル」ユーザー座談会

ちょっと地味だけど、一度使うと手放せない!?ゲルインキボールペン「エナージェル」ユーザー座談会

「エナージェル」というゲルインキボールペンをご存知ですか。発売から23年、世界120カ国以上で販売され、全世界累計12億本以上出荷しているワールドワイドな製品ながら、国内ではまだまだ知る人ぞ知る製品。それにもかかわらず、一度使うと手放せないと熱狂的な愛好家がいるところもエナージェルの大きな特徴です。

そこで今回は「エナージェルの魅力を再発掘しよう!」という想いから、ユーザー座談会を開催することに。普段からエナージェルを愛用する4名に集まっていただき、使い続けたくなる魅力から愛用者だからこそ気になる改善点まで、本音でたっぷり語っていただきました。

<座談会メンバー>

写真左から

カタダマチコさん
ペン字の世界にてカリスマ的人気を誇る講師。どこにでもあるボールペンで文字を書く様子をX(旧Twitter)に公開する。著書に「好かれる大人のほめられ文字LESSON(朝日新聞出版)」

書きちらしさん
薬剤師のかたわら、ペン字でしたためた作品を毎日Xに投稿する。エッジの効いた文章と達筆によるギャップが人気。著書に「今日の書き散らし(主婦の友社)」

けろりんぴっくさん
医療業界で働くゲーム好きのサウスポー。患者さんの話を聞きながら無理な体勢で速記しなければならず、さらには左利き&筆圧強めという特性からか、ダメにしたペンは数知れず。

ぺんてる社員 徳永
入社4年目。営業を経て、2023年7月より総務人事部に在籍。学生時代より趣味でペン字を楽しむ。カタダマチコさんのファンで、社内一のエナージェル愛好家。

01どこにでもあるペンに潜む、心地いい唯一無二の書き味。

SNSを中心に美文字を発信するカタダマチコさんと書きちらしさんは、ペン字界の著名人。実は書きちらしさんはカタダさんの出張講座に出向いたことがあるのだそう。さらに、けろりんぴっくさんと書きちらしさんは共に医療業界で働くなど、ほぼ初対面で集まった面々ながらも共通項が多く、座談会は和やかにスタートしました。

皆さんはエナージェルをどのくらいの頻度で使っていますか?

カタダマチコペン字のときには90%以上がエナージェルで、生徒さんにも「エナージェルをご持参ください」とお伝えしています。生徒さんが忘れてしまったり、他のペンを持ってきたときには「そこのコンビニに売っているので買ってきてください」と言えるほど、どこにでもある手に入りやすさもありがたいんです。

書きちらし僕はカタダさんの発信を見て、真似をするところからペン字を始めたんですよ。出張講座にも参加したのですが、そのときにお土産としていただいたペンがエナージェル。それまで使ったことがなかったのですが、今ではエナージェルばかり使っています。

ぺんてる徳永カタダさん、エナージェルの営業をしていただいて、ありがとうございます(笑)。

けろりんぴっく私は医療職という仕事柄、壁面をデスク代わりにしたりと無理な体勢で書く場面も多いのですが、それでもエナージェルはかすれることなくスラスラと書けるんです。あとは左利きって、なぜだか使い切る前にペンがダメになっちゃうんです。けれどもエナージェルは最後まで使えるので、今はエナージェル一択ですね。

カタダマチコ私の生徒さんにも左利きの方がいるんですが、ボールペンで書くと、その方だけちょっと線が変わるんですよね。ボールがポコっと出ているペン先の出口のフチみたいなところが、紙に当たるのか引っかかるんですよ。

けろりんぴっくネットで調べたところ、右利きの場合はペン先のボールを引きながら回転させて書くようなんですが、左利きの場合はボールを押して書く感じらしく。私は特に筆圧が強めなので、紙がえぐれるような感じで書くことで、ペン先のボールが上手く回らなくなるんじゃないかと思っています。

カタダマチコそうそう。左利きの人だけインキの出が悪くなっちゃって「ちょっと貸して」って私が書くと普通にインキが出る。左利きあるあるですよね。

けろりんぴっくだから文房具屋さんに行くと、左利き向きのペンはないか新商品を全部試したくなるんです。そこで出会ったのがエナージェルという。

ぺんてる徳永すごく嬉しい!ユーザーの方から言葉を直接もらう機会がなかなかないので、ものすごく感動しています。胸熱です(笑)。

カタダマチコSNSでバズったものは、結構エナージェルを使って書いた字が多いんですよね。発色やツヤがよくインキがドバーッと出るところが、見ている人が気持ちよく感じるところなのかなと。

ぺんてる徳永以前テレビ番組で取り上げられたときに、インキのジュルジュル感というのが、他のゲルインキボールペンとは違うと言っていただいたことがあって。私は学生時代からエナージェルが好きなのですが、インキの吐出量が多いところが書きやすさなのかと個人的には思っています。

書きちらし量が多いからこそ、加減次第でいくらでも細さ太さが表現できますよね。

カタダマチコ字を上手く見せるためには細部が大事なんですが、その細部の表現に必要な技法をエナージェルなら落とし込めるんですよね。とめ・はね・はらいの強弱が表現しやすい。

けろりんぴっく私は字が汚いので、きれいな人は尊敬します。医療業界の人ってどうしても字が汚くなってしまうことが多いような……。患者さんのお話を聞きながらその場でバーッと急いで書かなければならないので、きちんと丁寧に書いていられないんですよ。読めればいいみたいな。

書きちらしわかる。処方箋に書かれた情報が読み取れないのはしょっちゅうです(笑)。

皆さん普段から相当愛用されていますが、普段はエナージェルのどのラインナップを使っていますか?

カタダマチコ0.7mmの赤ですね。0.7mmは力をぐっとかければ1.0mmほどの線も出るし、反対に0.1 mm 0.2mmの線も出せるんです。0.7mmだけども0.7mmではない使い方ができるんですよ。

けろりんぴっく私も0.7mmが書きやすいですね。以前は0.5mmも使っていたんですが、0.7mmが安定して書ける感じがあって。インキが紙に染まる感じで書けるところもいいなぁと。

ぺんてる徳永ペン先の形が0.7mm以上から変わるんですよね。0.5mmまではニードルチップというちょっと細めのペン先を使っていて、0.7mmからは砲弾チップと呼ばれる、いわゆるボールペンらしい形状になるのと、0.7mmの方がインキの出が多いので、ずっと安定してさらさら書ける感じがあるのかなと思います。

けろりんぴっくそういえば、私はエナージェル インフリーを使っているのですが、普通のエナージェルとの違いがよくわからなくて……。

エナージェルシリーズから登場した“アイデア表現ツール”としてのペン。インスピレーションを刺激するクリエイター向きのデザインと鮮やかな10色展開が特徴

ぺんてる徳永実は機能的な違いはないんです。通常のノック式のエナージェルはシルバー軸やブルー軸などシンプルな外観なのに対し、インフリーはクリア素材の軸で、外側からインキの色が見えるデザインになっています。外観が異なるだけでペン自体の形状は同じなのですが、インフリーはこのスタイリッシュさが好き!とデザインで選んでいただけることが多いですね。

けろりんぴっく私がインフリーを好きな理由は、透明のプラスチックっぽい軸なのにタフなところなんですよ。持ったときに、ちょっとくらい潰しても大丈夫な安心感があって。

全員潰したことあるんですか!?(笑)

4名全員が0.7mmのボール径を使うなど、エナージェル愛好家の皆さんの共通項が見えたところで飛び出したエナージェル インフリーの話。ここから、エナージェル派、インフリー派、さらには限定品派と、使うボール径は同じでもボディのデザインについては細かく好みが別れることを知ります。

02朴訥なエナージェル、おしゃれなインフリー。そして買い占めたくなる限定品。

皆さんはシルバー軸のエナージェル派ですか?それともインフリー派ですか?

けろりんぴっく私はインフリーしか使っていないのですが、その理由はデザイン性です。普通のエナージェルのデザインが正直あまり好みではなく……。

ぺんてる徳永ときどき耳にするご意見です(笑)。

カタダマチコ私はシルバー軸のエナージェル派です。私もインフリーが出たときは「わー、かわいい!」と思ったのですが、それでもベーシックな方に戻ってくるんですよ。ペン字をやるにあたり「どこでも買えるペンなのに、こんなに字がきれいに書けるんだぞ!」みたいなところを自分の売りにしたいと思っていて。だからバーコードや値段がボディに印刷されちゃっているところも好き(笑)。

書きちらしシルバー軸のエナージェルはエナージェルだと一目でわかるのもいいですよね。僕も仕事ではシルバー軸のエナージェルを使っているんですが、SNSへの投稿やプライベートにはエナージェル ブラックカラーズコレクションを使っています。このデザインが好きで、発売されたときは神だと思いました(笑)。

発売20周年の限定品として2021年に販売されたのが「エナージェル ブラックカラーズコレクション」。「黒を愉しむ」をテーマに、オリーブブラック・インディゴブラック・ボルドーブラックといった全6色の黒インキで展開された

けろりんぴっくそれで言えば、私もブラックカラーズコレクションは定番で欲しいです。

書きちらしうんうん。

カタダマチコ私も限定なら買っとかなきゃ……と、とりあえず箱でセット買いをして、あとは替芯を各色10本ずつ買いましたね。

ぺんてる徳永その気持ちわかります。学生時代にインフリーが発売されたんですが、当時はまだ定番になる前の限定品で、「ターコイズブルーなんて見たことない!」と思って地元で買い占めました(笑)。

カタダマチコ私は田舎に住んでいるので、量販店がないんですよ。ネットで買えばいいんですけど、実物を手に取って買いたいっていうのがペン好きあるあるだと思うんです。だから都会に出たらまとめ買いですよね。

書きちらしブラックカラーズコレクションはボディも好みなんですが、インディゴブラック、ボルドーブラックと、インキの黒の違いも絶妙です。ほのかな色味の差ですが、撮影をしてから明度や彩度をいじるとボルドーっぽさが出てくるので、最近の投稿ではだいたいこれを使っています。

けろりんぴっくいいですよね。私も自分で見る用のメモ書きには、ちょっと遊び心のあるボルドーブラックを使っています。

ぺんてる徳永同じく。ペンは黒っていう先入観があったんですけど、インディゴブラックやブルーブラックを使ったときに黒ほどきつくなくていいなぁ思ったんですよね。業務で使っても問題ないレベルの色なのに、真っ黒じゃないところにこだわりを持っているというか。

カタダマチコただSNSの投稿のときには、最後にどのペンを使ったかを見せるためにスッと置くのですが、ブラックカラーズコレクションだとボディとロゴが一体化していて、ロゴが見えないんですよ。カクカクしたエナージェルのロゴが好きなので、もうちょっと見えてもいいんじゃないかな。

他にエナージェルで改善してほしい点はありますか?

書きちらしこれまでも言いたい放題言っているけれども(笑)。

カタダマチコめちゃくちゃ細かく見比べると個体差がありますよね。ガリっと引っかかったときに「何がどうなったんだろう」と細かいところまで見るんですが、なかでも1.0mmはペン先のボールの感じが分かりやすい分、書いた時の感覚の違いも大きく出てくるような気がします。

ぺんてる徳永製品を見る目がすごい!うちに入社しませんか(笑)。

けろりんぴっくボディのデザインで言えば、視認性がイマイチですよね。仕事のときはエナージェル3本を色違いで胸ポケットに入れているのですが、上から見るとどれがどれかわからないんです。

カタダマチコわかります!黒・赤・青をペン立てにごそっとと立てて、添削時には太さを使い分けているんですよね。そこでパッと取ろうとしたときに何ミリかわからないので、自分で「〇〇mm」といったテープを目印で貼っています。たくさんあったときに欲しい太さが簡単に取れるといいですよね。書き味云々じゃなく、見た目の話ばっかり(笑)。

書きちらし見た目以外の話で言えば、僕は多分エナージェルのインキに惚れているのかな。全く違うボディになっても使い続けるだろうと思います。

カタダマチコ確かに。私は添削のときに赤を使いますが、赤の濃さがエナージェルは違うんですよ。線が重なった部分も濃淡がはっきりわかるのはエナージェルだけなので、何が違うのか一回インキ工場に行きたいほど。

全員行きたい、行きたい!

ボディの好みはそれぞれあるものの、インキに関しては満場一致で文句なしというエナージェル。なかでも2021年に発売されたブラックカラーズコレクションは限定品でありながら、皆さん当たり前に所有しているところからもエナージェル愛を感じました。そんな皆さんに、ぺんてるからブラックカラーズコレクションに関するご報告が…。

03手に取ればわかるはず。自身の右腕や相棒となる頼もしさ。

実はブラックカラーズコレクションの一部インキが、10月に定番品として発売されることになりました。

全員!?

目の色が一気に変わりましたね(笑)。

書きちらし限定品なのでまとめ買いしたんですけど、それすらなくなりつつあるので節約しながら使っている状態で。うれしい!

カタダマチコ私は書きちらしさんみたいに文章は書かないので消費量はそこまでですが、限定だからと箱買いしましたからね。

けろりんぴっくどんなボディなのか気になります。

カタダマチコそういえば私の著書は全部エナージェル ユーロで書いたのですが、これにも新しい替芯は使えますか?

使い切りという点が他のエナージェルシリーズとは異なる

ぺんてる徳永履歴書やエントリーシートに向いていて、通称「就活ペン」として認知されているペンですね。残念ながらユーロは使い切りなんです。

カタダマチコそうなんですね。自著を制作しているときは、ぺんてるのエナージェルと認識せず「使いやすいなぁ」と単に思っていただけなんです。その後テレビ取材を受けたときに「エナージェルというペンを使っています」と紹介したら、雑貨の大型専門店に“テレビで紹介されました”とポップがあって。すごく嬉しかったです。

けろりんぴっく確かに最初はぺんてるさんの製品という認識はなく、替芯を買いに行くときに調べて初めて知った感じかも。

書きちらし僕はSNSの投稿に筆ペンも使っているんですが、それもぺんてるさんの製品だったので、エナージェルも一緒のメーカーなんだって思いました。

カタダマチコ筆ペンと言えばぺんてる筆の中字ですね。

ぺんてる徳永そのままキャッチコピーに使えそうですね(笑)。先日も採用説明会のときに学生さんにインフリーをお配りしたのですが、「使いやすい!すごい!」と言っていただいて。エナージェルの認知度はまだまだ低いかもしれませんが、使えば絶対によさがわかるペンです。

最後に、皆さんが伝えたいエナージェルの魅力を教えてください。

カタダマチコペン字を教えるとなると、生徒さんが持ってくるペンは大体がかわいい系のものなんです。そういう意味で言えばエナージェルは最初に飛びつくペンではないのかもしれませんが、字の上達につながるペンこそエナージェルなんだとお伝えしたいですね。

書きちらし書きはじめのシャープな入りや、とめの表現のときのインキだまりも汚くないですよね。

書きちらしさんの作品

けろりんぴっく私は字がきれいではないものの、エナージェルはカルテに使う厚めの用紙との相性がいいのかきれいに書けるんです。柔らかいものを下に敷くと、普段よりも字がきれいに書ける気がします。

カタダマチコ厚めの紙が下敷きになっているのかも。ペン先が紙に沈む時の深さで強弱がつけられるので、下敷きと書きやすい紙とエナージェルがそろうと、すごいきれいな字が書けるんですよ。

書きちらし下敷きの有無は結構重要。下敷きと紙があればペンは何でもいいかなと思った時期があったんですが、やっぱりエナージェル以外だとなめらかに滑らないというか。

カタダマチコペン字は繊細な部分をいかに落とし込むか……みたいなところが重要なので、その最後を突き詰めたときに出したい線が出せるのがエナージェルなんです。ペン先のボールというか球の部分を手に感じるんですよ。エナージェルなしでは生きてはいけないと言っても過言ではない私の右腕です。侍でいうところの刀みたいな(笑)。

ぺんてる徳永そうそう、もはや私にとっても相棒ですね。エナージェルを使いたいから使っているってわけじゃなく、数あるペンの中から無意識に取っているところまで自分に馴染んでいるので。

カタダマチコさんの作品

ぺんてる社員徳永の作品

書きちらし僕にとっても、エナージェルは書きちらしとしての活動の肝ですね。

けろりんぴっく患者さんに問診票を書いてもらうときに渡すと「これ書きやすいね」と言われることがあるんですが、そうすると心の中で「いいでしょう」と誇らしく感じたり(笑)。左利きの方は皆さん“ペン使えなくなる問題”に困っていると思うので、ぜひ一度エナージェルを使ってほしいですね。

今回集まっていただいた皆さんは元からの文房具好きやペンマニアではなく、書きやすいペンを探していたところ、たまたまエナージェルに出会ったそう。とはいえ、よくよく話を聞くと、自宅のペン立てには各種エナージェルがズラッと並んでいたり、限定品は箱買いしたり。使い続けるうちに、しっかりエナージェルマニアになっていました。

手書きの文字に自信がない方や、左利き向きのペンを探している方は、ぜひ店頭で一度試し書きを。なめらかな筆の運びを感じたら、そこがエナージェル愛好家への入り口です。