九州・沖縄

2015年6月-7月

沖縄県浦添市立港川小学校

港川小学校は1980年、沖縄県浦添市港川に創立されました。創立以来5,331人が学び、巣立っていった校舎でしたが、36年目を迎えて改築されることになりました。そこで、工事が始まる前の2015年7月、児童の皆さん、保護者の方々、地域住民の皆さんが学校に集まり、校舎に対する感謝の気持ちを思い思いに描きました。

01校舎の思い出ギャラリー

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02先生・関係者インタビュー

沖縄県浦添市立港川小学校(左から)石川教頭先生、PTA上間様、高良校長先生

校舎とのお別れ集会を行うことになったきっかけについて教えて下さい。

学校創立36年目を迎えての校舎改築は、本校や地域社会にとっても初めてのことです。今の校舎には、学校の主役の児童だけでなく、学校を支えてくださった方々の思い入れもあるはずです。35年間に港川小学校を巣立っていった5,331人の思いや、保護者や地域の方々の学校に寄せる気持ちが、校舎のいたる所に染み付いているだろう、と私達は考えました。 そうした方々に校舎に再度足を踏み入れていただき、思い出を振り返ってもらおうと考えたことが「校舎とのお別れセレモニー」のきっかけです。

「校舎の思い出プロジェクト」のサポートプログラムはいかがでしたか?

当初、「校舎とのお別れセレモニー」として6年生が主となって「校舎に感謝の気持ちを描こう」と考えましたが、準備する画材の量や刷毛の本数などについて予測がつかず、困っていました。そんな時、地域教育コーディネーターの仲介で、ぺんてるとキヤノンマーケティングジャパンが「校舎の思い出プロジェクト」としてご協力してくださることになり心強く思いました。 セレモニー当日は、6年生が親子で思い思いに描いているのを見て嬉しく思いました。それは、どの親子も同様で、のびのびと楽しい時間をすごしただろうと思います。描かれたどの壁を見ても「感謝」の文字が記されていて、プロジェクトの趣旨が感じられるものでした。親子の活動の様子や書かれた絵を写した写真は、児童のみならず保護者の感動も大きかったです。額に入れて廊下に飾った写真に足を止めて見入る姿が毎日見られました。

特に印象に残っているエピソードなどあれば教えてください

6年生が壁や窓ガラスに描いた絵は翌日から全校児童の話題となり、どの学年の児童も校長室を訪れては「自分達も描きたい!」と訴えてきました。「校舎が好き!」「校舎で勉強できてよかった」のような絵ならば自分の絵の具やマジックで描いていいよと伝えました。 噂を聞きつけた中高生や大学生や成人した卒業生までが校舎を見に来るようになりました。また、来校した地域の方々も華やかになった壁面や窓をご覧になって感激していました。改めて、港川小学校の大切さや存在価値を痛感することができました。

壁画のテーマはどのようにして決められたのですか?

壁に描く内容は児童会の6年生が話し合って決めたものです。それを、各学級で確認し合い、絵の内容をそれぞれで考えていきました。

学校の壁という本来描いてはいけない場所に、初めて子どもたちが描いていくときはどのような反応でしたか?

「校内の壁に絵を描いていいよ」と伝えたときの児童会役員の喜びは大変なものでした。子どもたちは「本当にいいんですか?」と何度も問い返してきました。セレモニー当日は思い思いの場所に散って行き、頭に描いてきた絵を描いていました。どの顔も生き生きとしていました。「子どもたちの思いが絵に込められた」それだけで、セレモニーは成功だったと思っています。

子どもたちが撮影した写真や、撮影している様子をご覧になっていかがでしたか?

子どもたちは一眼レフのカメラレクチャーから楽しみにしていました。夏の沖縄の太陽と青空をバックに、窓ガラスに描かれた絵は色合いがどれもきれいで、感動しました。また、写真を撮る姿はプロのカメラマンの様でした。

保護者や卒業生、地域住民の皆さんの反応はいかがでしたか?

7月は地域や保護者の方々に見て頂く機会が多くあり、可愛くなった窓ガラスを見て、「きれい」、「可愛い」との声が聞こえてきました。セレモニーで展示した大型ポスターは、卒業生には羨ましく思えたようでした。

今後、「校舎の思い出プロジェクト」を多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。 このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

「校舎のお別れセレモニー」は、子どもたちの心に残るものになったと思います。これまでの地域学習の成果を絵で表現したり、「感謝」や「ありがとう」の言葉を描いたことは、新しい校舎に移っても忘れられない思い出になったと思います。時間の無い中での取り組みでしたが、この企画に参加させて頂き感謝いたします。